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事例紹介

2026.02.09

愛媛

可能な限りの積極的なDX推進により患者・スタッフ双方に利便性の高いクリニックに

すがクリニック

新しく生まれ変わった地域のかかりつけ医
松山市中心部、松山市駅から徒歩5分というアクセス良好なエリアに位置する「すがクリニック 消化器内科・婦人科」。1949年(昭和24年)に開院し、地域の患者に真摯に向き合い歩んできた「須賀医院」が、2023年(令和5年)に3代目の須賀義文院長(消化器内科)とその妻・須賀真美医師(婦人科)による新たなクリニックとして生まれ変わった。
オールインワンの診療支援システムを導入
すがクリニックでは、メドレー社のクラウド診療支援システム「CLINICS (クリニクス)」を導入している。予約から電子カルテ、レセプトチェック、経営分析まで、クリニックの業務プロセス全体をシームレスにワンパッケージでサポートしてくれるシステムだ。
もともと電子カルテを導入しようと検討しているとき、クラウド型のものを採用したいと思っていたという。過去に勤務していた病院ではオンプレミス型のものを使用していたが、クリニックで導入しようと思うと初期導入費用が高いのが気になった。パソコンもオンプレでは専用の機器を購入するのが一般的だったが、自分の使いやすい機種を利用したかった。また、院長夫妻が子育て中であり、帰宅してからでも書類記入を行える点もクラウド型の魅力だった。
クラウド型の電子カルテをいくつか検討していたなかで今後の改良にも意欲的だと感じられた点や、WEB予約・WEB問診・オンライン診療など活用したい機能がひとつにまとまっていて、複数のシステム会社とやりとりをしなくて済む点が決め手となって、最終的にメドレー社のシステムを採用することに決めた。
導入してみての期待を裏切らない実感
CLINICSを導入してみると、業務効率が上がりかなり便利になったという。
たとえばレセプト。現在CLINICSは電子カルテとレセコンが一体となっているが、以前は「ORCA(オルカ)」*1 の機能を内包しているのが強みだった。ORCAから抽出したデータを容易に移管できたため、投薬や検査など以前のオーダーを確認でき、CLINICSへの移行が混乱もなくスムーズに行えた。
また、導入して非常に良かったと感じているのはWEB問診だ。従来は来院・受付してから問診票を書いてもらっていたが、その場で時間が取られてしまう上、書き漏れも多い。特に服用中の薬は書き漏れや省略が発生しやすい。もちろんお薬手帳なども参考にするが、その添付やマイナンバーカードからの抽出にも手間がかかる。
その点、WEB問診だと時間のある時に落ち着いて入力できるため、患者から医師に伝えたいことを全て記入した状態で診察を受けてもらえる。診察の時に患者がちょっとした困り事や質問を聞きそびれてしまうといった事態も防ぎやすいため、患者の満足度向上にも貢献している。
また、オンライン診療の利用も徐々に増えてきている。特に婦人科では、ホルモン剤の服用など、状態がある程度落ち着いているなかでの長期治療をしている患者も多い。再診かつ何かあった場合にクリニックへの来院が可能な範囲に居住している患者を対象に、オンライン診療での定期処方を行い、なるべく通院回数を減らす配慮をしている。
また、導入後に気が付いたが、分析ツールが入っている点も良かった。日別・月別の売り上げや来院患者の初再診数、性別や年齢分布なども簡単に分析できるため、リアルタイムで運営状況を把握するのに役立っている。

*1 「Online Receipt Computer Advantage」の略で、正式名称は「日医標準レセプトソフト」。日本医師会が提供・管理しているレセプトソフトで、コストパフォーマンスが高く、さまざまなソフトや周辺機器と連携が可能。

さまざまなデジタル技術を導入
すがクリニックでは、CLINICS以外にもさまざまなデジタル機器・技術を取り入れている。

●自動精算機
世間でスーパーなどに自動精算機が入り始めていた時期に、自院でも自動精算機やキャッシュレス決済をぜひ取り入れたいと思っていたところ、医師会が推薦していた「OWEN(オーエン)」が割引キャンペーン中だったという。
OWENの特長はわかりやすく操作しやすい大画面だ。文字も大きく視認性が高いうえ、スタッフ側にも同じ画面があるため、スタッフがサポートしやすく高齢者にも使いやすい。計算をスタッフが行って支払いのみを患者自身が行うセミセルフレジなので、いくつも機械操作をしなくて済むのも高齢者にやさしい。
OWENを取り入れたことで、会計ミスはほぼなくなったという。受け取り金額や釣り銭の不足が確実になくなったほか、OWEN自体が多数のキャッシュレス決済に対応しているため、複数社とやりとりする手間がなくなったことも利点だった。利便性の高さを日々実感しているという。手数料の負担は発生するが、受付事務のストレス軽減、超過勤務を減らすための環境整備目的と位置付けている。

●AI技術
胸部レントゲンと下部消化管内視鏡検査にAIを導入し、医師の診断を支えている。胸部レントゲンでは、撮影した画像をAIが解析し、肺炎や結核・肺がんなどの異常の可能性がある部位を検出して提示してくれるため、その情報を参考に診断を行う。下部消化管内視鏡検査では、検査中にリアルタイで病変の検出や診断をサポートし、見逃しやすい局面で注意を促してくれる。専門領域では必須とまでは言えないが、専門外の領域では見落としの防止の強い助けとなる。医師とAIのダブルチェックにより、診断の精度を高め、医師にも患者にも安心感をもたらす。

●スマートフォンアプリとの連携
1.婦人科では「ルナルナメディコ」を新たに導入した。生理日や基礎体温などを記録できるスマートフォンアプリ「ルナルナ」の記録データを、簡単に医師と共有できるサービスだ。スマートフォンを医師に渡して小さな画面で確認してもらうのは、見にくいうえに双方扱いに気を遣う。また、女性の体調管理に関してはデリケートな情報も多く、医師にさえ口に出して伝えるのが恥ずかしいと抵抗感を持つ女性は多い。「ルナルナメディコ」では、データ番号を伝えれば医師側のパソコンなどで記録データを確認できるため、医師にも患者にも利便性が高いという。

すがクリニック

意外にスムーズだったDX推進
すがクリニックでのDX推進は須賀真美医師が主導している。院内のWi-Fiなどの配線やランサムウェアなどのセキュリティ対策は地元の医療機器販売会社である株式会社サンメディカルの担当にサポートしてもらいながら、システムの選定・導入を行った。地方厚生局への「医療DX推進体制整備加算」の届出などは自身で行った。フルスペックのCLINICSを導入していたため、算定のための施設基準を細かく気にする必要がなかったのも、スムーズなDXにつながった。
また、これだけいろいろな機能があると、機械に詳しくないスタッフが操作に慣れるのには時間がかかりそうなものだが、それほど大きな問題もなく運用できている。
まず、CLINICSのインターフェイスが直感的に操作できるものであり、今までこういったシステムを使ったことのないスタッフでもそれほど操作に困らなかったという。また、各機能の操作方法についてはYouTubeにガイド動画が多数上がっており、新規スタッフには研修代わりにYouTubeでひと通りの操作方法を見ておいてもらうのだという。
いざ困った時にもチャットのような形で相談でき、すぐ返答をもらえる。
また、すがクリニックでは院内の連絡ツールとしてLINE WORKSを活用しており、チャット形式でのサポートにも皆慣れつつあるそうだ。
今後の展望
後は、よりDXを進めていくことで電話業務の削減やAI要約を実現していきたいと考えている。

●電話業務の削減
オンライン化が進んで減るかと考えていた電話業務だが、実はそれほど減っていないどころか、増える一方だという。オンライン予約ができるようになったといっても、電話予約や「やり方がわかない」「本当に予約が取れているのか」といった確認の電話、また症状に関する問い合わせは今でも多くある。
限られた人数の職員で電話対応に時間や人手が割かれてしまうことは大きな課題であり、第一に目の前にいる患者さんへの対応に集中すること、またその他の業務をスムーズに遂行するためにも、電話対応を減らすツールや方法を模索している。

●AI要約
患者との会話を聞き取り、要約してカルテに記載してくれるAI要約は、導入すれば大幅な効率化につながるだろうと考えている。すでに商品パッケージとしてはリリースされており、すがクリニックでも数社のデモを試用し、好印象は持っているという。しかし、実際に導入するとなればそれなりに費用がかかり、現在は業務効率化に対してかかる費用が高いというアンバランスから導入には至っていない。

超高齢社会に直面している日本において、人々が健康に安心して暮らしていける社会であるためには、より良質な医療やケアを誰もが受けられることが必要だ。しかし、超高齢社会であるがゆえに働き手の不足が叫ばれつつあり、医療業界も例外ではない。
医療DXはICT技術の活用によって、より安心・安全な医療の提供や医療機関等の業務効率化による人手不足の補填などを実現し、医療の将来を大きく切り拓いていくものだ。厚生労働省や自治体によるバックアップも徐々に整備されつつあり、これからの医療を担っていく人材・施設において、ある程度のデジタル化は避けて通れないと考えられる。
すがクリニックは、個人医院のなかでも積極的にDXに取り組んでいる事例だが、どのシステム・サービスも導入して慣れてしまえば驚くほど便利になり、スタッフの誰もが以前の体制には戻れないと感じているという。DXにより業務効率の向上を期待できると実感しており、今後もコスト面での課題がクリアできたら新しいサービスを導入していきたいと前向きに考えているという。

すがクリニック

すがクリニック 消化器内科・婦人科
院長
消化器内科 須賀 義文 様

すがクリニック

すがクリニック 消化器内科・婦人科
婦人科
須賀 真美 様

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